部門
リハビリテーション科
リハビリテーションとは?
語源的にはRe(再び)ーHabilis(適した,ふさわしい)ーAtion(にすること)が接合されたものであり、「再び適した状態になる」という意味になります。一般的には障害がある人の回復練習や社会復帰を意味して用いられることが多いのですが、本来は広く人間存在の包括的な復活(全人間的復権)を意味するものです。また、その中でも病院で行われる医学的なリハビリテーションにおいては、その経過から、急性期リハビリテーション、回復期リハビリテーション、維持期リハビリテーション、終末期リハビリテーションの4期に大別され、各期に応じて様々なリハビリテーションが実施されます。
当科の特徴
病気の発症後早期または手術後間もない入院患者さんを対象に、急性期を中心としたリハビリテーションを展開しています。また、急性期病院におけるリハビリテーション科の役目として、本来のリハビリテーション医療(先見の医学)に基づき、基礎疾患の治療段階さらには治療前段階から、それら疾患または治療により起こりうる障害を予測し、予防に努めることが重要となります。そこでチーム医療の一環として、入院早期から身体機能に関する評価を当科にて積極的に行うシステムを導入し、必要に応じてより早期からのリハビリテーションの介入を提案します。
対象リハビリテーション
〈心大血管疾患リハビリテーション〉
心臓手術後および心不全、心筋梗塞、狭心症などの病気に対し、運動の持久性向上を目的とした運動療法を行います。
〈脳血管疾患等リハビリテーション〉
脳梗塞や脳出血といった中枢性疾患に対し、日常生活動作の練習やコミュニケーションの練習を行います。
〈運動器リハビリテーション〉
骨折や関節の変性疾患等、整形疾患を中心に、関節可動域練習や筋力トレーニング又は歩行練習等の運動療法を行います。
〈呼吸器リハビリテーション〉
肺炎や慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患に対し、呼吸練習や排痰練習または歩行を中心とした持久力を高める運動療法を行います。
〈廃用症候群リハビリテーション〉
急性疾患による安静によって起こった筋力低下や日常生活動作制限に対し、筋力トレーニング等の運動療法を行います。
〈がん患者リハビリテーション〉
各種がんの手術後や化学療法、放射線治療中の患者さんに対し、病状に応じ日常生活動作の練習を行います。
〈摂食機能療法〉
脳卒中や咽頭がん等による摂食嚥下障害に対し、咀嚼や飲み込みの練習を行います。
治療分野
〈理学療法〉
運動療法によって関節可動域、筋力、協調性などの身体機能の改善を促し、さらに床上動作から歩行までの基本動作および日常生活動作の改善を図ります。必要に応じて装具の適応や福祉用具の選定も行います。また超音波治療等の物理療法による疼痛、循環の改善なども行います。
〈作業療法〉
毎日繰り返される基本的日常生活動作練習や家事や買い物などの日常生活関連動作練習を行います。手工芸や遊び、学習や仕事などの作業を通して心身の機能や活動、社会参加に必要な能力の改善を図ります。また装具や自助具の適用、住宅環境の改善とそれらへの適応練習を行います。
〈言語療法〉
失語症や構音障害に対し、発声練習や音読練習等を行いコミュニケーション能力の改善を図ります。また当院においては急性期の摂食・嚥下障害に対し、積極的に摂食機能療法を実施しています。
スタッフの構成
医師 | 2名 |
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理学療法士 | 23名 |
作業療法士 | 4名 |
言語聴覚士 | 5名 |
義肢装具士 | 1名 |
資格・認定
認定機構 | 名称 |
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日本心臓リハビリテーション学会 | 心臓リハビリテーション指導士 |
日本呼吸器学会 日本胸部外科学会 日本麻酔科学会 | 3学会合同呼吸療法認定士 |
日本呼吸ケアリハビリテーション学会 | 呼吸ケア指導士 |
日本糖尿病療養指導士認定機構 | 糖尿病療養指導士 |
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 |
日本骨粗鬆学会 | 骨粗鬆症マネージャー |
日本理学療法士協会 | 認定理学療法士(管理・運営、運動器、脳血管疾患、呼吸器) |
日本理学療法士協会 | 専門理学療法士(内部障害) |
東京商工会議所 | 福祉住環境コーディネーター |
日本理学療法士協会 ライフ・プランニング・センター | がんのリハビリテーション研修修了 |
厚生労働省 | 臨床実習指導者 |
三次元動作分析装置・床反力計・下肢荷重測定器
当科においては三次元動作分析装置・床反力計・下肢荷重測定器を導入し、身体全体をあらゆる角度から解析し、問題となっている動作を詳細に評価することが可能です。
これらにより、身体の傾き角度や動作の速度、関節の動く範囲等の左右差や日々の変化を、数値化した指標で評価できます。また、足にかかる負荷や、身体の重心位置といった目に見えない情報まで割り出すことができます。これは歩行を中心とした動作の安定性を評価する客観的指標となり、治療効果の判定にも大きく貢献します。また得られた情報をもとに研究活動にも力を入れています。
等速性筋力測定機器
身体を動かすためには筋肉の力が必要となります。よって筋肉の強さや動きのスピードまたは持久性を測定することで、どの程度の動作が行えるかの指標を得ることができます。当科においてはスポーツ外傷を中心に、疾病により生じた筋力低下の評価及びトレーニング機器として利用しており、日常生活への復帰のみならず、スポーツ復帰の指標としても活用しています。
免荷レール
歩行を中心としたリハビリテーションを行う上で、転倒や転落の危険性はつきものです。そこで当科においては、歩行練習スペースに補助装置を設置し、安全に歩行練習が行えるよう対策を講じています。荷重制限や筋力低下により下肢に十分体重をかけられない方には、補助装置により荷重量を調整することが可能で、能力に応じて段階的にリハビリテーションを進めることができます。
心臓リハビリテーション
心臓リハビリテーションとは、心臓病の患者さんが、体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指して行う総合的活動プログラムのことです。心臓病の患者さんは、心臓の働きが低下し、また安静生活を続けたことによって運動能力や体の調節機能も低下しています。そのため退院してからすぐには強い活動はできません。またどの程度活動しても大丈夫なのかが分からないため不安もあります。これらに対して心電図等の生体モニターを装着し、安全かつ適切な運動療法を行うことが役に立ちます。心臓リハビリテーションは、専門知識を持った医師、理学療法士、看護師、検査技師、管理栄養士など多くの専門医療職が関わって、患者さん一人ひとりの状態に応じた効果的なリハビリプログラムを提案し、実施します。当科では心臓手術後又は病気の発症早期の急性期心臓リハビリテーションを主に行っていますが、当院で入院治療を行った患者さんにおいては、外来での継続したリハビリテーションも行っています。