心臓血管外科

外来担当医表

午前の部

診察室10 寺本 折本(第2週)
寺本
(第1.3週)
診察室11 末永 末永

午後の部

診察室10
診察室11

外来受診について

診療科の特色

成人の心臓血管外科全般を対象として外科治療を行っております。特徴としては、心臓弁膜症手術において、1992年に日本でもいち早く僧帽弁形成手術を導入し、これまで400症例に行い、その手術成績は良好でした。また、大動脈弁逆流に対する弁形成手術も行っております。人工弁には機械弁と生体弁がありますが、各々の患者さんのライフスタイルに合わせ、相談の上で使用弁をを決定しています。
一方、冠動脈バイパス術は、基本的に人工肺を用いた心停止下手術を行っており、手術成績も良好です。

大動脈瘤の手術成績も飛躍的に向上し、2~3週間の入院で退院できるようになりました。大動脈基部拡張症に伴う大動脈弁閉鎖不全症の形成術も安全に行うことができます。また、当院は救命救急センターを併設しており、不安定狭心症、急性心筋梗塞、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂等の循環器系の重症救急疾患に対して、24時間体制で対応しています。

対象となる疾患と治療法

  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞の合併症)
  • 弁膜症(僧帽弁の狭窄症・閉鎖不全症、大動脈弁の狭窄症・閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症、感染性心内膜炎、心房細動手術)
  • 先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、肺静脈還流異常症、バルサルバ洞動脈瘤破裂、冠動静脈瘻、動脈管開存症)
  • 大動脈疾患(急性・慢性大動脈解離、胸部大動脈瘤、大動脈基部拡張症、腹部大動脈瘤)
  • 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、急性動脈閉塞)
  • 静脈疾患(下肢静脈瘤)
虚血性心疾患の手術虚血性心疾患の手術は、冠動脈バイパス術が主体で、両側内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈、大伏在静脈をグラフトとして使用しています。
基本的に人工肺を用いた心停止下手術ですが、脳梗塞の合併を予防するため、人工心肺を使用しないで冠動脈バイパス術も行っております。
左室瘤や心室中隔穿孔に対する左心室形成術の成績も良好で多数行っております。

近年は重症の虚血性僧帽弁閉鎖不全症に対する形成術も新しい術式が開発され導入しております。
弁膜症1992年度より積極的に弁形成術を導入し、現在までに僧帽弁に350例、大動脈弁に67例行いました。
弁形成成功率は98.8%です。特に、変性疾患、感染性心内膜炎の成績は良好です。リウマチ性弁膜症は多くが人工弁置換の対象となりますが、これまで20例に形成術が成功しています。

人工弁の選択についてですが、高齢者、挙児希望の女性やワーファリンの服用を希望されない方など、各々の患者さんのライフスタイルも考慮した上で生体弁を使用しています。
生体弁は年齢にもよりますが、大動脈弁位で15-20年、僧帽弁位で10-15年の耐用年数が期待できます。
一方、機械弁では生涯ワーファリンという抗凝固薬を内服しなければなりませんが、耐久性に優れており若年者には適応となります。

生体弁や弁形成では心房細動という不整脈がなければ、手術後3か月目以降は1年に1回の定期検査を行うのみで、基本的には通院の必要はなく、薬の内服も不要な、健康で快適な生活が可能となります。
また術前から心房細動という不整脈を合併している場合には正常リズムに戻すために MAZE手術を弁手術と同時に施行し、70%程度不整脈の治癒も望めます。
小児の先天性疾患手術小児の先天性心疾患手術は年間数例程度ですが、これまで全例生存根治しています。
新生児の手術は現在では基本的に行っていません。
大動脈解離大動脈解離のうち、上行大動脈に解離を有するA型には急性期に手術を行います。
放置すると90%が生命の危険となります。近年では手術成績も向上し、90%以上が救命可能です。
しかし、術前状態の不良な方、脳の灌流不全のある場合等は手術できない、あるいは救命できない事もあります。
真性大動脈瘤上行、弓部、胸部下降、胸腹部、腹部の大動脈瘤の待機手術の成績は良好です。
一方、破裂した場合の死亡率は一般に50%以上であるため、無症状であっても、胸部で直径6cm、腹部では直径5.0cm以上の大動脈瘤に対して待機手術をお勧めしています。
特に胸部大動脈瘤は高齢の患者さんが多く動脈瘤以外の問題も合併していることが多いのですが、手術成績も近年では良好となり、安全に手術を行うことができるようになりました。また、ステント治療も、胸部、腹部に対して行っています。
閉塞性動脈硬化症高齢者に多い閉塞性動脈硬化症に対しては自家静脈、人工血管を用いてバイパス手術を施行しています。
また、バルーンを用いて狭窄部を拡張する手術も行っています。閉塞血管の血栓内膜摘除、パッチ拡大も行っています。
下肢の静脈瘤現在、下肢静脈瘤治療は行っていません。

術後管理

術後管理には、CDC(米国国立防疫センター)のガイドラインに準拠した抗生物質の使用法、カテーテル管理法を採用し、さらに早期経胃腸栄養法、側臥位呼吸管理法を行い、合併症の予防に努めています。当科の方法は、日本集中治療医学会シンポジウム(2003)、日本外科学会パネルディスカッション(2005)でも取り上げられ、テキスト(ICUにおける感染対策2005)にも掲載されております。

クリニカルパス(治療行程計画)

クリニカルパスのうち、患者さん用パスは患者さんに不安なく治療を受けていただくことを目指した治療行程計画書です。

医療機関の方へ

当院は地域医療支援病院として、地域医療連携を推進し、地域全体で継続性のある医療提供ができるよう取り組んでおります。

WEBコラム

当院が発行・寄稿した広報誌より抜粋した記事をご紹介します。
※所属、肩書きは執筆当時のものです。
※内容は現在では異なる場合があります。

医師紹介

心臓血管外科部長

泊 史朗

専門領域
心臓・血管疾患の外科治療
資格(専門医・認定医)
日本外科学会外科専門医・認定医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構修練指導者
臨床研修指導医講習会修了
心臓血管外科部長

寺本 慎男

専門領域
成人心臓血管外科
資格(専門医・認定医)
日本外科学会外科専門医・指導医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構修練指導者
日本ステントグラフト実施基準管理委員会(GORE TAG® Thoracic Endprosthesis)(Gore Excluder®Endprosthesis)による血管内治療の実施医
日本ステントグラフト実施基準管理委員会(Gore Excluder®Endprosthesis)による血管内治療の指導医
日本脈管学会脈管専門医
臨床研修指導医講習会修了
心臓血管外科部長

末永 啓人

専門領域
心臓血管外科・成人心臓
資格(専門医・認定医)
日本外科学会外科専門医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
臨床研修指導医講習会修了